冷蔵庫にはいつもプリンを

小説の感想や本に関する話題。SF、ファンタジー成分多め、たまにミステリ、コミック

2015-05-01から1ヶ月間の記事一覧

風刺の手段としてのファンタジー

最初に断っておきますが読んでません。 中国文豪、老舎のアンチユートピア小説『猫の国(猫城記)』について - Togetterまとめ 中国文豪、老舎のアンチユートピア小説『猫の国(猫城記)』についてtogetter.com この @ETakiyam 氏の連続ツイートを読んで『猫…

【感想】ケン・リュウ『紙の動物園』

ケン・リュウ(劉宇昆)は米国在住の中国系作家。10歳で家族とともにアメリカに移住するまでは中国本土で育ったという。今アメリカで最も注目されているSF作家で精力的に作品を発表するだけでなく中華圏SFの翻訳紹介も行っている。 本書は著者の本邦初の単行…

【感想】エリザベス・ムーン『くらやみの速さはどれくらい』

暗闇がなぜ光より速いかと言えば暗闇は光より先にそこに行きついているからだ。(第十一章) くらやみの速さはどれくらい (ハヤカワ文庫 SF ム 3-4) 作者: エリザベス・ムーン,小尾芙佐 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2008/12/10 メディア: 文庫 購入: …

【感想】マイクル・フリン『異星人の郷(さと)』

14世紀の南ドイツの村、近くの森に雷鳴とともに〈船〉が不時着する。乗っていたのは大きな眼を持ちその容貌はバッタやカマキリを思わせる〈クレンク人〉だった。その村、上ホッホヴァルトで代表として彼らと接触するのは、村の教会の主任司祭を務めるディー…

【感想】高山 羽根子『うどん、キツネつきの』

「そう、読む人が文字だって思えば、傷だって文字でしょ」(「シキ零レイ零 ミドリ荘」) 著者のデビュー作となる短編集。淡々と語られる日常にそっとしのびこませたSFともファンタジーとも判別しかねる独特の味わい。作品にも共通するのは世界ではなく人生…

【感想】阿部 洋一『オニクジョ』

京都で大学生活を始めた岩倉宗太。アパートの部屋に突如として現れたのは「畳オニ」のキヨシ。そこへ隣室の謎めいた女子高生九条ふきが突如襲ってきて—— オニクジョ (ヤングジャンプコミックス) 作者: 阿部洋一 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2015/03/19 …

ライト文芸キャラ文芸

その概念を指すものとしてキャラノベという語がずいぶん前から頭の中にあったので、キャラ文芸もしくはライト文芸の二つに収斂しつつある現状にとまどっている。 元記事はダ・ヴィンチNEWSのコラム 小説とラノベを分けるのはナンセンス!? 人気の「キャラ文芸…

文学を翻訳することの困難さ

英米文学の翻訳書に慣れるとかえって気づきにくいかも。 翻訳書でしつこく繰り返される表現togetter.com 中学生の頃から好んでディックやアシモフ、チェスタトンなど英米の翻訳小説を読んでいたのでいまさら違和感は感じないが、独特の表現にひっかかり読み…

【感想】売野機子『ロンリープラネット』

ロンリープラネット (KCデラックス BE LOVE) 作者: 売野機子 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2011/11/30 メディア: コミック 購入: 8人 クリック: 24回 この商品を含むブログ (15件) を見る 「まったく男って生き物はどーして……」 占い師の姉を持つ常磐一…

電子書籍「月刊ジェイムズ・P・ホーガン」

最近気づいたのだが、ハードSFの巨匠ジェイムズ・P・ホーガンの電子書籍版が東京創元社から昨年12月以来ほぼ毎月刊行されている。 彼の名をSF界に知らしめた〈巨人〉三部作は既に刊行済みで、今のところ7月31日刊行の『量子宇宙干渉機』までとなっている、『…

SF/ファンタジーの受賞作品

ヒューゴー、ネビュラ、ローカスの3賞+アーサー・C・クラーク賞、世界幻想文学大賞あたりは毎年おさえて翻訳出版してほしいところ。 ミリタリSFなどシリーズ物が安定的な売上げに必要な事情はわかるがシリーズものばかりというのも味気ない。あとPKD賞は地…

【感想】テッド・チャン『あなたの人生の物語』

寡作で知られる中国系アメリカ人作家の短編集。 以前購入して半分ほど読んでいたのだが、先日出版されたケン・リュウ『紙の動物園』の巻末解説でも触れられていたので、通して再読。 以下、読書メーターより一部改変 あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF) 作…

【感想】佐藤多佳子『シロガラス』1〜3

親戚の子どもに買ってあげたのだが、年齢的にやや早過ぎた(小学校低学年)ので自分で読むことにしたもの、児童文学もなかなか面白い。 作者は高校陸上部が舞台の『一瞬の風になれ』をはじめとする青春小説で有名だが、もともと児童文学でデビューしたという…

2015年4月に読んだ本

先月に続いて今月もたくさん読めた。 話題性では久住四季の数年ぶり非ラノベでの新作とケン・リュウの処女短編集 コミックでは初めて読んだpanpanyaが強烈な体験。掲載誌を変えリブートした鈴木小波『ホクサイと飯さえあれば』も良かった 既刊では、以前途中…