冷蔵庫にはいつもプリンを

小説の感想や本に関する話題。SF、ファンタジー成分多め、たまにミステリ、コミック

【感想】阿部 洋一『オニクジョ』

京都で大学生活を始めた岩倉宗太。アパートの部屋に突如として現れたのは「畳オニ」のキヨシ。そこへ隣室の謎めいた女子高生九条ふきが突如襲ってきて——

オニクジョ (ヤングジャンプコミックス)

オニクジョ (ヤングジャンプコミックス)

 

敢えてジャンルづけするなら青春+伝奇モノだろうか。

どこか懐かしさを感じさせる独特なタッチの絵、ダークな世界観に不気味かわいいクリーチャー、戦うセーラー服、そして毒を含んだ物語展開は著者の作品に共通するもの。本作は連作形式とはいうものの、この作家は短編作品でこそその魅力を最大限に発揮するとの思いを強くした。

「通常営業」とでも言うべき表題作+続編の後で、独立した短編「金属のキミへ」を読むとそのエロスな方向性が新鮮に感じられる。そういえば以前読んだ連作短編集『橙は、半透明に二度寝する』は青春に絡めたユーモアの中に死の臭いがまとわりつく妙な雰囲気を持つ作品だった。

橙は、半透明に二度寝する(1) (講談社コミックス)

橙は、半透明に二度寝する(1) (講談社コミックス)